日本の人口問題について 〜その1〜
日本のこれからはどうなるの?
なんだか重いテーマですが
最近読みました「未来を見る力(河合雅司著)」がとても参考になりましたので、日本の未来について『人口』という切り口で一緒に考えてみたいと思います。
仕事? マーケット? うちの子が大人の時?
なんとなく疑問を持ちながら読み進めていただければ幸いです。
いきなりですが、少しだけお付き合いください。
2019年の年間出生数は過去最小の86万5234人である。これに対し、年間死亡数は戦後最多の138万1098人だ。
前年比の人口減少幅は51万5864人だ。
しかし、この人口減少幅はまだ序の口である。
2040年代に入ると毎年90万人ほどの規模で減っていく。
毎年一つの県や政令指定都市と同規模の国内マーケットが縮んでいくようなものである。(P. 23)
人口予測は大きく外れることがないため、こんな未来が間違いなく訪れます。
もう少し具体的に例えると
毎年、東京23区の2区ずつなくなっていくイメージです。(すでに1区ずつ消滅しているペースです。)
ちなみにこれは消費者だけでなく、働き手も減っていくことを意味します。お客様も、一緒に働く仲間も減っていくイメージです。
もちろん業種や地域によっては緩やかだったり、もしかしたら逆の状況もあるかもしれません。あくまでも日本全体の話です。
しかし、こんなすぐ目の前に厳しい現実があったとしても、正面から向き合うのは気が進みません。。
というのも、あまりにも大きな問題なので、何をどうしたらいいのかわからないというのが本当のところだと思います。
なので
できれば、政治家にがんばってもらいたい。
できれば、海外からの労働者をもっと受け入れて、日本を支えてもらいたい。
できれば、AIがすべてを解決して欲しい。
仮にこれらがうまくいかなくても
できれば、うまくかわしたい。。
できれば、知らないことにしたい。。
というのが日本全体の今の雰囲気のような気がします。
しかし繰り返しになりますが、人口はほぼ予測可能なため
現行多くの人が働いている年齢である20〜64歳を「働き手世代」として社人研の推計表から抜き出すと、2040年までに1300万人ほど減る(P.41)
たったこの先20年間でも、東京がなくなるぐらいの人口が減ります。(どんどん加速してしていきます。)
人口だけを見ればどう考えても、厳しい現実が待っています。
また、20年後の日本は、3人にひとりが65歳以上です。私もその一人です。消費意欲は歳とともに減少しますので、消費は人口以上に減ると考えられます。
じゃ、どうしたらいいんだ
結論から言いますと
わかりません。
ってなんだか無責任なような気もしますが、国のあり方に関わるので、みんなで考えていくしかないわけなんです。
なので、まず私の身近なひとたち(とたまたま訪問いただいた方)に
1 日頃あまり目にしない日本の人口問題について紹介したい
2 今までなかった視点についても紹介したい
そして、
3 子供たちや未来を考えたとき
4 この先何かを選択しなくてはいけないとき
の参考になったらと思いつつ、紹介していきたいと思っています。
気の進まないテーマではありますが、最終章までお付き合いいただければ幸いです。
それでは次回、第2章(こんな考え方はもはや通用しない)を紹介したいと思います。
レジ袋の有料化で考えたこと 〜その3〜
『ゴミに関わる』気になる疑問点を書き出してみました。
本気になれば、もう少し調べられそうなこともありますが
どこまで行っても私に専門性はないので、参考になったサイトを紹介させていただき、この連載を終わりにしたいと思います。
残念ながら正確な数字は見つけられませんでした。
ただ、いくつかのサイトを見てみると、レジ袋の消費量はだいたい30〜40トンぐらいのようです。
プラスチック循環利用協会によれば(プラスチック製品の製造から廃棄処理までのフロー図がめちゃくちゃわかりやすい)
国内消費量: 1,029万トン
有効利用量※: 750万トン(84%)
再生利用量: 208万トン(23%)
※ ケミカル利用(ガス化や油化など)や、発電焼却(エネルギー回収)なども含まれ、私たちが普段目にする再生利用だけではありません。
となっているので、単純に計算すれば、国内消費量の1%ぐらいの削減効果が見込めそうで、それなりに意味はありそうです。
また、この数字と一緒に考えたいのが
有効利用、再生利用するために投じられたエネルギー量です。100円の効果を得るために300円掛かっていないか。。
例えば最近よく耳にする意見ですが、
ゴミを分別することで回収日が増加するため、それに必要なガソリンの量、資源ゴミを再利用するために必要な化学薬品、それらを生成するために必要なエネルギー、これらを全て計算すると可燃も不燃もすべてまとめた方がじつは環境に良い、というものがあります。
真偽はともかくとして、実際のところは?を、このレジ袋ひとつとっても、検証していくことが大切なんだと思います。
余談ですが、イギリスでは2015年に有料化が始まっているので、その辺りの成果も参考にできると、もっとわかることがありそうです。
これをわかりやすくしていくことが大切なんだろうなと。
これは、教えてもらったことですが、世界の大きな枠組みとしてパリ協定があります。(アメリカは脱退してしまいましたが。。)
日本としてもこの取り決めの中で、ある程度のプレゼンスを維持していくことが必要なわけですが、
日本がどれぐらい頑張ろうと地球の問題なので、一応こちらのグラフも紹介させていただきます。
どうしても排出量の多い国に目が行ってしまいますが、人口が多ければ当然数字も大きくなります。人口で割ると違う景色も見えてきます。
繰り返しになりますが、どこまでいっても地球環境の話なので、国ごとに比較してもしょうがないかもしれません。ただ、世界を巻き込む(牽引していく)ためにも、コツコツと実績をつくっていくことが大切だということは理解できます。
たまにニュースなどでも 痛々しい映像や写真を見かけることがあり、インパクトがありますが
感情に訴えかける手法は一時的には有効なものの、誤った情報が拡散されてしまう危険性もあります。
なので、具体的に問題を整理して、個人でできること、企業として努力すること、国としてやるべきことを意識する必要があると感じています。
世界の不幸を個人が背負っても意味がありません。
余談ですが、感情に訴えかける手法に近いものとして、『環境保護』という名目で人を従わさせようとするのにも胡散臭さを感じています。
ストローの廃止、ホテルでのタオル繰り返し利用、他にもいろんなところで目にしますが、正直効果がわかりません。。
と、レジ前でのささやかなやり取りから、色々と考えてみました。
正直、興味が尽きないところでもありますが
このまま書き続けると、いずれ日本のエネルギー政策にも関わってくる内容でもあり、素人の私が書いても、すでにある情報の寄せ集めにしかならないので、このへんにしたいと思います。
お付き合いありがとうございました。
次回は、日本の少子化について『未来を見る力』を参考に考えてみたいと思います。
レジ袋の有料化で考えたこと 〜その2〜
(前回のつづきです)
お会計をしていた時のささやかな?やり取りから、レジ袋の有料化について考えてみました。
考えはじめてみるといろんな疑問が出てくるものの、まずはこの制度を理解する必要があると思い、(制度をつくった)経済産業省のホームページを覗いてみました。
せっかくなので、ホームページに記載されている制度概要の項目の一つひとつを紹介していきたいと思います。
制度導入の理由としましては
資源・廃棄物制約や海洋ごみ問題、地球温暖化といった、
生活環境や国民経済を脅かす地球規模の課題が一層深刻さを増しており、
これらに対応しながらプラスチック資源をより有効に活用する必要が高まっている。
そのために
1 プラスチックを含む一般廃棄物の減量
2 消費者のライフスタイル変革
が必要(という内容でした)
また、すでに色々なところでニュースになっていますが、世界では毎年800万トンのプラスチックゴミが海に放出されているそうです。
(こうやって書いていますと、私が環境問題にすごく関心がある人間のように見えるかもしれませんが、すみません。。)
いったん、最後までいきますね^ ^
対象者は、
プラスチック製買物袋を扱う 小売業を営む全ての事業者
で、細かく業種名が記載されていますが、一般の感覚で、買い物できる全部のお店が対象なのかな、という感じです。
ただ、フリーマーケットのように反復継続性がない場合は対象外
のように例外というか、あ、それはOKなのね!みたいなものは他にもありそうです。
ガイドラインからの抜粋ですが
3R+Renewable の観点から一定の環境性能が認められる買物袋への転換を推進する
※3R ・・・ Reduce(減らす)、 Reuse(再利用)、 Recycle(リサイクル)
ということで、有料にしなくても良い袋があることがわかりました。
- (繰り返し利用が可能な)厚さが 50 マイクロメートル以上のもの
- 海洋生分解性プラスチックの配合率が 100%のもの
- バイオマス素材の配合率が 25%以上のもの
ただ、これらの方が通常のレジ袋よりは高価だと思いますので、売価に上乗せする必要がない(もともとが高い)商品でない限りは、あえて無料にはしないのかなと思います。
また、ここにも例外があり( この『例外』探しが楽しくなってきた。。笑)
中身が商品でない袋は対象外だそうです。
具体的には商品券、切符・郵便切手・入場券・テレフォンカードなどのように "サービスが立体化" されたものや、あと、クリーニングを入れる袋が当てはまるそうです。
そして気になるレジ袋の価格と、その売上の行方ですが
価格も売り上げの使途も、事業者自ら設定することとなります。
ただし、1枚あたりの価格が1円未満になるような価格設定をすることは有料化にあたりません 。
また、
その売上の使途については、事業者が自ら判断するものとした上で、
消費者の理解促進の観点から、売上の使途について事業者から自主的に情報発信することを推奨する。
ということで、価格は自由に設定でき、売上の一部(または全額)を自治体などに納める必要もないということでした。
なので、これまで無償提供していたものを有償にできるため、お店は得なのかな?とも思いましたが、
実際にはプラスチック製買物袋の価格と辞退率(P. 8)との関係がグラフで記載されていて、
有料化することで、約8割の人が辞退することがサンプルデータから読み取れます。
セブンイレブンを例に取ると、
65万円(売上/日) ÷ 585円(客単価)= 1,111回/日
1日に1,111回の買い物がなされていて、その2割がレジ袋を買うとして
1,111 × 0.2 = 222人がレジ袋を購入
1枚2円だと、444円/日
1ヶ月で1万円ちょっとです。なので、お店のメリットはそれほどでもなく
それよりも、日本で消費されてきたレジ袋の8割が削減できるというのは、すごいことのような気がします。
こう考えると、制度に期待できる効果はそれなり意味がありそうです。
以上で、ざっくりこの制度の8割ぐらいはカバーできたと思います^ ^;
(私が勝手に抱いていた想像とは異なり、本当にきっかけを作るための制度なのだと理解しました。。)
次回は、のこりの気になっていることについてもう少しだけ深堀りしてみたいと思います。
レジ袋の有料化で考えたこと 〜その1〜
2020年7月から全国ではじまったレジ袋の有料化
環境のためだとわかっていますが、先日、たまたま入ったお店で気に入った食器を見つけ購入した際に
「重いので2枚重ねの方がいいかもしれません」
と勧められ、
ま、そーかなーぐらいでお願いしたら
しっかり2枚分の料金がかかりました。
(たかだか、5円 x 2 = 10円 ですが)
ただ、この時すごーく変な違和感があって、時間にすると一瞬ですが、レジの前であれこれ考えたことを羅列すると
- (レジ横に)エコバッグが売ってあるけど、家にあるから不要
- エコバッグって、なんでこんなに高いの?
- エコバッグも石油製品だけど何回使うとエコなの?
- レジの人、親切な感じもするけどお金とるんだー
(で、そのお金はどこに行くの?)
- そもそもレジ袋を有料にした背景って?
- レジ袋と海洋汚染の関係は?
- あれ、ストローってどうなったんだっけ?スタバの脱プラ・ストローは?
- 環境破壊は海外の方がひどいんじゃない?
- 日本がすべきことは?
- 有料化が意識改革につながるってホント?
- ゴミって利権がすごく絡んでいるけどレジ袋もそうなの?
- 結局のところ有料化って、すごくダメな施策な気が。。ナッジする方法はないの?
この中のいくつかは帰りの車の中で気になったことですが、あの違和感がどこから来たのかを考えてみると、こんなところに行き着きました。
べつにお金を払ったのが悔しいからではなく
純粋に上に書いたことが気になるので、これから何回かに分けて書いてみたいと思います。
『サピエンス異変』を読んで〈第5部〉
第五部 未来
第9章 超人類への扉を開ける「手」
やっと、最終章です。800万年前からはじまって、現代、そして未来です。
(最初から読みたい方はこちらから)
最後を締めくくるのにぴったりのテーマ
手
私たちの「手」がどのような進化してきたのか
手の進化を読み解くことで、わかったことはあるのか?
を最後に、このブックレビューを終わりにしたいと思います。
〜〜〜〜〜
私たちの手は、言ってみればなんでも屋です。
モノを掴むことはもちろんのこと、何かをつまんだり、指先で軽く押してみたり、スマホ画面をスワイプしてみたり、はたまた粘土から茶碗をつくることも、絵を描くことも、すべて同じ「手」で行うことができます。
(当たり前と言えば当たり前の話ですが、これができる動物はヒトだけです。)
一体いつから、こんなに器用になったのか
せっかくなので選択肢を用意してみました。
1 農耕が始まった3万年ぐらい前から
2 産業革命があった1760年代ぐらいから
3 現代になってから(とくにスマホの登場から)
4 よくわかってない
答えは、4。わかっていません。
これは第1部のレビューにも書きましたが、ヒトが死者を埋葬するようになったのはここ10万年ぐらいです。
それ以前の化石はフルセットで見つかることがほぼないため、
例えるなら、草むらで見つかったアイアンクラブ1本からその時のプレーの状態やスコアの仮説を立てているわけですが
見つかった化石などからは、手に進化(変化)の形跡は見られません。
なので少なくても数十万年変わることなく、この形を維持していることになります。
人間の手が変化してこなかったのは、変化させようとする進化圧が掛からず、現状のままで今のところは完璧だからだ。page 286
期待していたものと違って残念に感じたかもしれません。
ちなみに他の霊長類との比較ですが
ざっくり、全霊長類の特徴を足して割ったみたいな感じになっています。(本書では12の霊長類と比較したスケッチが紹介されています)
優れているところも、劣っているところもありません。
最も特徴のあるアイアイの手は、中指が細長くなっていて、木の中に隠れている虫を掻き出しやすい形になっています。
そこまでの特徴は別としても、ヒトの手の形と器用さに相関関係はないことになります。
私たち人間は、自分たちの手がすべての哺乳類の中でもっともすぐれていると信じたがるものだが、そんな内なる虚栄心を二人※は痛烈に攻撃した。page 285
ヒトの手は器用だからできることが多いのではなく
手はしなければならないことがないために、逆にいろんなことができるようになっている
すごくヒトっぽい器官とも言えます。
(最後の章なのに、こんな乱暴にまとめていいのだろうか。。)
〜〜〜〜〜
まとめ
本書を通じてヒトの身体がどのように環境に適応してきたのか(できていないのか)、また、なぜ私たちの身体がこのような形をしているのかについて多くを知ることができました。
これは前に書きましたが、多くの人が抱えている問題(腰痛や虫歯、さまざまな生活習慣病)の責任は個人にあるのではなく、
人類が発生の原因に真に向き合っていないために抱えてしまっている業(ごう)のように考えるようになりました。
そして今起きている環境や社会の変化、
行動、食料、働き方、IT と Bio の融合、、
これらが私たちの身体へ与える影響について考える時
ある意味、判断軸に身体を置いて考えることが大切なんだろうと感じます。
感覚をしっかり認識できるような心と体を持たなくてはと。
また、本書を読み進めていた時、カール・セーガンの「コンタクト」や、ジェームズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」をよく思い出しました。
どちらも宇宙人と遭遇する物語で、ある意味ま逆のジャンルなのですが。
ただ、きっと過去を辿るのも未来を想像するのも、同じ想像力であることに感心したことで繋がったのかもしれません。
そして、わからないことが多く残されていることにも静かに感動を覚えました。
私のつたない文章力では伝えられないところが多くあります。なので、もし興味を持たれたら、ぜひ手に取っていただければと思います。
やっとこのブックレビューを終えられましたので、次回はライトにいきたいと思います(笑)
『サピエンス異変』を読んで〈第4部〉
第四部 西暦1910年〜現在
第8章 身体は現代の食生活に追いついていない
やっと、現在まで来ました。
紀元前800万年前から始まっていますので、なんとも感慨深い。。
(最初から読みたい方はこちらから)
まずこの章の始まりからして、興味を掻き立てられます。
「動かなくなった人類に何が起きているのか?」
動かなくなった人類に何が起きているのか。
ここで思い出していただきたいのが
なぜ虫歯や不正咬合が人類共通の問題になったのか
(第二部でこのことについて触れています。)
環境の変化についていけないから、問題が生じているわけです。
(個人の規律とかではないということです。)
そもそもヒトの身体がほかの霊長類と大きく違うのは
・脊椎がS字型
・足がアーチ状
です。これらは長距離を移動するために進化したもので、ほかの霊長類にはない特徴です。
(詳しくは第一部で。)
動かなくて済むような生活を私たち自身がつくり出しているものの、身体にとって望ましい環境になったわけではありません。
そして、現代ならではの働き方ですが
デスクワークが私たちの身体をどう変えたのか?
について
長時間座っていると血流が妨げられて、筋肉から代謝廃棄物を流し出せなくなる。page 197
クッションに2時間腰掛けるたびに、血流が減って血糖値が下がり、糖尿病や肥満や心臓病のリスクファクターとなる。page204
と指摘しています。また、
アメリカではここ40年で、2型糖尿病(座っていることと強い相関がある)の患者数が、400万人以下から、人口の10%に近い2000万人を優に超える数にまで増えている。page204
糖尿病患者がものすごい勢いで増えている現実にも触れています。
もちろん長時間座ることだけが糖尿病になる理由ではありませんが、相関関係は無視できません。
ちなみに上の血液の流れへの影響をフローにしますと
長時間座る
→ 血流が減る
→ 血糖値※が下がる
→ ホルモンバランス悪化
→ 慢性病リスク
※血糖値 … 血液内のグルコース(エネルギーになる糖)の濃度のこと
ということになります。著者も指摘していますが
長時間座っているのはただ運動していないということだと広く誤解されているが、実際はまったく別物である。page 205
長時間座る ≠ 運動していない
(上記はイコールではありません。)
長時間座る = 血行不良、背骨や筋肉への負担
が正しい等式になります。
だから、長い間座るのはよくない
言うのは簡単ですが、現実にはすごくむずかしい。
それでも、『雲・雨・傘』ぐらいのフレームとして理解しておく必要があるんだろうなと思います。
そして、長時間座ることによる筋肉や骨への影響について
長時間座っていると、脊柱が変形し、それにともなって筋肉のバランスが崩れることが多い。page 199
いつもハイヒールを履いている女性がローヒールに変えようとするとかなり苦労するのに似ている。
ハイヒールを履いているときには足首の角度は180度に近いが、ローヒールでは直角になる。
ローヒールをうまく履きこなせないのは、ふくらはぎの筋肉が適応して短くなり、本来の位置まで楽に伸ばせなくなっているからだ。page 199
この辺りはかなり詳しく紹介されていますが「大腰筋」や「腸骨筋」は、私には説明できず申し訳ありません。
とにもかくにも、長く座っていると血行にも肉体にもよくないぞ、という話ですね。
(結論だけ書くと稚拙に聞こえますが。。)
余談ですが、人の足のサイズが大きくなっている理由が、人類の足が総じて扁平足になっているということもあるそうです。
(アメリカでは5割の人の足が扁平足!? page220)
へんペーそくって、なんかとぼけた語感もあって他人事のように思いたいけど
歩くときに足の親指って使わないですよね。
これって、そーゆーことなんです。
私たち全員扁平足になっていてもおかしくないわけなんです。
ちなみに私はこの本を読んでから足の親指を意識して歩くようになり、ふくらはぎの痛みが劇的に改善しました。
(それまでは毎日、娘にお願いして踏んでもらってました。お小遣いつきで。。)
ざっと著者が説明している身体への影響を書くとこんな感じですが、大切なのは
身体にとって何が自然なのか(農耕以前はどうだったのか)ではないかと。
私たちの身体的特徴は草原で生活していた時と大きく変わっていないということです。
最後は、
食生活についての話で終わりたいと思います。
2025年には27億人が肥満に
衝撃的な見出しですが、これほどに肥満が世界的な問題になっているということです。
繰り返しになりますが、慢性病は個人の問題ではないと考えないと前に進めないと思っています。
肥満はいくつもの原因がある複雑な病気だが、「解決しようのない」原因は一つもないと、20世紀半ばには受け止められていた。
だがいまでは、遺伝的、出生前、生物学的、心理学的なさまざまな影響が原因となっていることが知られている
(本人はそのうちのせいぜい一部しかコントロールできない)page236
腸のなかに棲んでいる微生物叢(びせいぶつそう)が、肥満や精神疾患に関係していることも最近の研究でわかってきています。
こうなってくると本人の意思なんて関係ないとさえ思います。。
だからと言って最後に責任を持つのは本人なので、人任せにはできるわけでもありません。
社会全体として、健康に向かうような仕組みつくりがもっと必要なんだろうな、と感じる今日この頃です。
さ、次回はいよいよ第五部(最終章)です!
第五部 未来
第9章 超人類への扉を開ける「手」
『サピエンス異変』を読んで〈第3部〉
第三部 西暦1700年〜西暦1910年
第6章 腰が痛い!
第7章 大気汚染
やっと、真ん中にきましたよ。(最初から読みたい方はこちらから)
「腰が痛い」ってふつーによく耳にしますが、じつは世界中どこでもそんな感じです。
先進国に限らずアジアのいたる所でもマッサージ店がわんさか見つかります。
もはや仕事が忙しいとかそういうことじゃないんですよね。オレがんばってるとか関係ないんです。
現代社会で生活する以上、歩かない、動かない、イスに座りっぱなしはセットなんで、ふつうに生活していれば必ず支障をきたします。
でも歩かない、動かないことが身体に悪いのはわかるけど、なんで座るのがダメなの?
って思いません?
座るって休んでいることと同じじゃん。ってね。
そう思ったのなら、ぜひこのままお進みください笑
まさにこの章で書かれている内容がそれです。
そもそもイスって昔っから使われているように思いますが
その環境は19世紀に訪れて瞬く間に広がった。page 137
じつは普通の人がイスに座るようになったのって、まだたったの200年しか経っていないそうです。
(日本はもう少し経ってからだと思うので本当に最近です)
ある時を境にしてイスに座ることが当たり前になってしまいましたが、人類の歴史からすれば、昨日のような話なわけです。。
(「教育」と「労働」が急速に普及させたそうです)
このイスに座る行為が何に反しているかというと、身体の基本設計が無視されていることになります。
背骨を例にとって、ヒトに近い霊長類と比較するとわかりやすいかもしれません。
私たちの身体(とりわけ脊柱)をほかの霊長類と比較すると、何にいちばん適応しているか、どのような経緯で現在の姿になったのかがわかる。page 151
ゴリラの脊柱は、その時の姿勢によって直線形またはC字型をしている。(中略)一方で、人のように反対方向に湾曲している脊柱はほかに類を見ない。page 153
ゴリラとヒトの背骨の形って、画像検索すればすぐわかりますが全然ちがいます。
ヒトの背骨はS字型なんです。これは他の霊長類にはないヒトだけの特徴です。
私たちの脊柱は効果的な衝撃吸収体としても働かなくてはならない(したがって、S字型になり、この形は重心にもよい。)page 152
つまり(ヒトの足にアーチがあるのと同じで)、ヒトの身体は歩くのに適している形をしているわけです。
歩くことが身体に良いことは知られていますが、理由はとても簡単で
人の身体が歩くように設計されているからだとも言えると思います。
逆に、本来設計されたではない姿勢で長時間いることは、当然のように身体に負担がかかることになります。
こんな発想から、近い将来イスの概念がひっくりかえるような奇抜なイスが生まれたらと願います。
それでは本日は最後に素敵な一文を紹介して終わりにしたいと思います。
ギルガメシュが不死の秘密を探し求めた物語を、私たちが数千年にわたって語り継いできたと考えると愉快な気分になる。
なぜなら、秘密を探す旅そのものが不老不死の霊薬だったからだ。
探究の旅が長寿を願う心に応えてくれたのだ。page 136, 137
さ、次回は第四部です!
第四部 西暦1910年〜現在
第8章 身体は現代の食生活に追いついていけていない