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『サピエンス異変』を読んで〈第1部〉

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オビはだいたい大袈裟なものですが、、

ではさっそく、

 

第1部 紀元前八〇〇万年~紀元前三万年

 第1章 ヒトは「移動」で進化した

 第2章 「人新世」以前の身体

 

から紹介したいと思います。

 

この章で扱う800万年前とか3万年前とか、もはや想像できないと思います。私はさっぱりでした。

 

ただ、ヒト科が生まれた時から、ホモ属(ホモなんとかは数十種類あります)が生まれるまでの間の期間だと考えるとわかりやすいかもしれません。

 

むかし教科書に樹形図みたいなものであっちにいくとゴリラ、こっちが人みたいなものを見た記憶があると思います。それです。

 

ただ、これもかなり想像(仮説)が含まれているものだと知りました。なぜなら

 

とくに古いヒトの化石は頭骨であることが多い。(中略)

私たちが死者を埋葬しはじめたのはほんの約10万年前である。page 23

 

いくつもの奇跡が重なるような偶然でやっと頭骨が見つかるぐらいで、10万年以前のヒトについては骨以外の情報からも想像するものの、じつはほとんどわかっていないのだと著者は認めています。

 

古人類の運動パターンを知る最良の証拠は化石ではなく、2009年にケニアで発見された、約150万年前にさかのぼるとされる足跡だ。page 29

 

足跡からどんなヒトが居たのかを想像してみる、もうロマン以外の何物でもありません。

 

足跡の大きさ歩幅深さから、体重、重心位置、骨格、身長、性別などがわかり、それによって歩行シミュレーションをつくることができるかもしれません。

 

さらに子どもを抱っこしていたことがわかれば、それも初期のヒトの生活を知る非常に有力な手がかりになります。(見つかった化石が特別な状況下のものだったりすると、ややこしいのですが。。)

 

こんな感じで初期の人類を想像していくのだから、インターネットで調べればなんでもわかる時代ではないこともわかったりします笑

 

とにかくここで大事なことは、わかったことです。

 

わかったのは、人類の祖先が長距離の移動に適した足を持っていたということです。

 

霊長類の足だと木を登るのに最適化したものもあれば、物をつかみやすくなったものもあります。そしてヒトを除く霊長類に共通しているのは扁平足だということです。アーチがあるのはヒトの特徴です。

 

つまり人間の足は、移動のために進化したものだということです。

 

ヒトの足の形や機能はあらゆる点で最大化する。

 

すべての足指が縦方向に伸びるので、歩行サイクルの前半にアーチにたくわえられた推進エネルギーが後半に戻される。

 

縦に伸びる親指が歩行や走行時に最後のエネルギーを戻して歩きにバネを与える。

 

身体のモーメントと重みを使って運動エネルギーを発生する、じつに精巧なメカニズムだ。page37

 

走るのが好きな人は今すぐにでも外へ飛び出したくなるのではないでしょうか笑

 

(逆に普段から歩かないヒトは身体が非常にまずいことになっている、なってしまうという自覚が必要になりそうです。)

 

移動に適した足がヒトに何をもたらしたか

 

についてもわかっていないことが多いのですが、手が自由になったことで、ヒトがさらにヒトへと進化していきました。

 

ここですぐ器用な手先で火を起こしたり、狩りに使う道具をつくるイメージを想像してしまうかと思いますが、手は

 

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 と、自動運転技術さながらの感知器をもっています。

 

辻井伸行さんが今どの指がどの鍵盤の上にあるのかを知っているのは、こういった感触受容器が脳に信号を送り、マッピングができるからなわけです。

 

ヒトの特徴は、足と手だけに止まりません。

 

そう、コミュニケーションです。

 

ちなみに言葉は、猿もイルカも持ちます。カラスも特定の音域で意思伝達を行います。ヒトが他の生き物と違うのは

 

ディープ・ソーシャルマインドとは、互いの心を読みとる、ヒトに特有の能力のことだ。

 

それは自分の頭蓋骨の周辺で終わることなく、他者の頭蓋骨まで入りこむ心とでもいえよう。

 

この能力がヒトとほかの霊長類で異なるのは、ヒトではそれが完全に再起点である点だ。

 

他者の意図を読もうとする類人猿の行為は、悪だくみと自己利益に動機づけられているので、ループが個のレベルで閉じる。

 

ヒトはループを開けたままにして相互作用を可能にする。

 

「私はあなたの意図を読み、私の意図もあなたに伝える」のである。

 

これがヒトのコミュニケーションと共同体の本質だ。page 32

 

ちなみに相手の目を見て相手の考えがわかる(と思う)ことができるのはヒトだけだそうです。(ゴリラは白目がまぶたに隠れているので、視線の先がどこかもわからない。まじか!)

 

まっすぐ立つことを可能にする足と尻の筋肉の物語は、人新生の身体にたどり着く旅のはじまりだ。page35

 

ここがスタートになりますのでよく覚えておいてください。

 

現代(ゴール?)がいかに私たちの身体に不自然であるかを理解するのにとても重要になります。

 

ちなみに本書によれば初期の人類は1日に8〜14キロ移動したそうです。

 

可動域はフルに使わなければ失われるし、エネルギーを人体や腱にためる能力も利用されなければ失われる(中略)。page 51

 

歩くことが減った代わりに私たちが日中ほとんど行っている

 

現代生活では椅子に座ってくつろぐのがふつうだが、ヒト科は200万年以上にわたって椅子に座ることがなかった(中略)。page 51

 

と、椅子に座る行為そのものが自然ではないことがわかります。(人間工学に基づく椅子は理論上存在しえない。正しい姿勢なんかそもそもない。)

 

こうなると私もこのブログを書くのを止め走り去りたくなります。。

 

おあとよろしく、次回は第2部を紹介したいと思います!

 

第2部 紀元前三万年~西暦一七〇〇年